■ Keep Dancing....水玉れっぷう隊が踊るイベント |
BOYS TIME(1999-2000年版) |
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DAILY YOMIURI(2000.01.20)掲載分日本語意訳版 これは、1月20日に「DAILY YOMIURI」の「CULTURE」欄に掲載された 「New fanfare for the common man」という「BOYS TIME」について 書かれた記事を、楽園計画が意訳したものです。 間違い等があるかもしれませんので、お気づきの点はメールで 教えていただければ幸いです。 意訳版(ストーリーばれあり!) ※原文はこちら Daily Yomiuri On-Line (c)Yomiuri Shinbun 日本語意訳(by 楽園計画) ありふれた男への新しいファンファーレ BOYS TIME 東京・PARCO劇場 2000.01.07(観劇?!)
Daily yomiuriのスタッフライター KISHINAMI,Yukiko著
1998年、NHKドラマ「やんちゃくれ」の主題歌として ウルフルズの曲「あそぼう」がテレビ画面で流れた時 NHKの朝ドラのための時間帯に、なんだかとても革新的で ファンキーなものをあつかましくもTVで流したなあと思ったものだ。 「よく笑い、よく泣き、よく怒り」で始まるその単純で奇抜な詞と 楽天的でノリのいいこの曲は、通常の今までのシリーズで主題歌と なってきた静かなイージーリスニング風の曲とは正反対のものである。 で、この歌は、実はBOYS TIMEの最後に歌う曲として使われている。 宮本亜門といえば、テレビや雑誌にも登場しているので たぶん日本で最も有名な演出家であるが、そもそもの彼のルーツは ミュージカルにある。そして現在、彼は音楽ディレクターとして 様々なヒット曲を作曲し提供しているトータス松本の協力を得て ウルフルズの曲をステージで使用したのである。 ウルフルズの元気な曲を使用することで、宮本亜門はストーリーを 目立たなくさせてしまうという危険を冒している。 それはやはりある程度は起こる仕方のないことだが、これもそのうち ウルフルズのようなある種とんでもなく楽観的な曲の数々が 日本のミュージカルの新しい先駆者となるかもしれないとも 思う(ま、それは見れば分かるだろう)。 この物語は、宮本亜門の1995年の作品「GIRLS TIME」の男性版で 女性がますます元気に見える今の世界で、男が自分の人生を 取り戻すために企画されたツアーから始まる。 彼女と別れたことを後悔している優柔不断な若いイラストレーター 妻と別れた気難しい大学教授 家庭にも学校にもなじめず、問題を抱える中学生 未来に漠然とした不安を持つホスト 毛皮のコートに身を包む「借金大王」と、そんな兄を熱心に慕う弟 成功しそうにない引越し業を無駄に続けようとしている三人組 ...個性も性格もバラバラな男たちがツアーに参加する。 目的地を告げられることなく、彼らは客船に乗りこんだ。 ツアーコンダクターは「無人島」と一度は船上で明らかにしたものの 客船が故障して行けなくなってしまうのである(というのも すべては計画されたことであるが)。 で、彼らは救命用のゴムボートに乗ったものの...。 ショーが始まると、まず、私達は、男たちが並んで 便器に座っているのを目にするだろう。 便座の個室は、それぞれの男たちが自分たちの悩みを声を出して 嘆くことで本当の自分を出すことができる唯一の場所という 意味づけなのである。 ストーリーの途中で、物語とは関係ない楽しいショーが 20分繰り広げられる。 キャストの男たちは、ロデオのカウボーイから剣士まで バラエティに富んだ扮装で踊り、「Soul Train」 「ヤングマン(YMCA)」「Copacabana」「Dancing Queen」と いった1970年代のヒット曲をメドレーで歌うのである。 実は、このショーとウルフルズの歌曲がBOYS TIMEの「売り」である。 結局、旅行はドラマティックなエンディングもないし、たぶん 10人の男たちは路頭に迷ってより多くのトラブルに今後もあうだろう。 それでも、元気な歌で彼らを励まし、すべての退屈を忘れよう じゃないか、というわけなのだろうか? 歌にはさまれたこのストーリーが、時々、物語自体をつまらなく させるのには、ツアーコンダクター役にTVで人気の藤井隆を 起用したことに実は大きな責任がある。 藤井隆は、確かに魅力があり、歌もダンスもできるし 彼がツアーコンダクターとして賞をもらう夢を見るシーンは 楽しいと思う。しかし、他のほとんどのキャストと違い 彼の演技はぎこちなく、TVでは許されても舞台では許されない 素人っぽさがある。 (嘆かわしいことだが、同様にTVスターをキャスティングすると いうことが日本の劇場ではよく行われるのである) 台本作家である土田英生がくだらない冗談の数々のために 非難を受ける役をある程度担わなければならなくなり 会話もまた、現場の音響システムでは不自然に騒々しく 聞こえてしまう、という現象を引き起こしている。 しかしながら、他のキャストは、見た目がよいのは言うまでもなく そのうえ、歌、ダンス、演技といったある種の若い才能が 集まっているといえるだろう。 特に注目すべきは、山本耕史である。 「RENT」で昨年好評だった若手俳優で、今回は内気な イラストレーターを演じている。今回のこの舞台ですら 素晴らしいものと思わせる耳触りのよいテノールの声と 繊細な演技力を持っている。 芸人である二人 借金大王と言われても楽しいことを探すという男役の松谷賢示と 引越し屋3人組の大阪弁をしゃべるリーダー役の宮川大輔は たくさんの笑いを引き起こしている。 ナルシストなホスト役の伊藤明賢は、彼の陽気な テーマソングでもある「アタマはカラッポ」で ショーの主役をかっさらう。 森山未来は、苦しんでいるティーンエイジャーとして 見る者に納得いく演技をしている。 大田創のシンプルなセットは、十分なダンススペース提供にも つながり、また、たくさんの窓のある可動式の壁は 演者にとってたいへん効果的である。 麻咲梨乃のエネルギッシュなダンスの振り付けも またいい仕事をしている。 1月30日までは東京・渋谷のPARCO劇場にて 平日は午後7時から、土曜日は午後2時からと7時からの2回 日曜日は正午からと午後5時からの2回、それぞれ公演されている。 お問い合わせは03-3477-5858。 さらに、大阪・シアタードラマシティでは、2月5日から13日まで 福岡・メルパルクホールでは2月20日、広島・郵便貯金ホールでは2月22日 名古屋・愛知県勤労会館では2月26日、金沢・石川厚生年金会館では2月28日 とそれぞれ上演予定(各地の公演はほとんどチケットは完売)。 |