■ Performing Arts....BATTLE MIX 2011 GEAR Vol.3

....Story(内容紹介)....



時は、西暦2011年。この時代の人々が熱狂していた
あるゲームが1人の男の人生を変えた。
そのゲームは「ギア」

プレイヤーの動きを完全にトレースする格闘技ゲーム。
したがって、実際の格闘技のように肉体と精神を鍛えなければ
勝つことができない。しかし、異なる武器を使用しても
同じ土俵で戦えるし、女性であろうが、子どもであろうが
脳の反射神経と格闘センスがあれば、互角に戦える。

そんな「ギア」は、日本ではまだただの「ゲーム」だったが
世界ではすでにゲームの域を越え、総合格闘技の1ジャンル
「バトリーグ」として確立されつつあった。

一方、とあるバーに、サラリーマンの自分に疑問を
持ちはじめていた1人の男がいた。
今まで、何をやっても長続きせず、ただぼうっと人生を
生きてきた彼は、この日、ついに会社をさぼって
このバーにやって来ていたのだ。
そこで、初めて「ギア」を体験した、その男の名は「アキ」


同僚のコウジ(平中功治)にだけでなく、あゆみ(山本操)と
いう女の子にすらボロ負けしたアキは、このバーのマスター
(清水家共一)にバトリーグの存在を聞かされる。

世界チャンピオンになれるかも、と上手くマスターに乗せられた
アキは、とりあえず今度はあゆみに勝つために会社を辞め
ジムでトレーニングをすることを決意する。

翌日。ジムを紹介するというマスターのもとにやってきた
アキは、このバーがジムで、トレーナーがマスターである
ということを知り、愕然とする。

トレーナーでもあるこのマスターは、娘のあゆみを本当は
バトリーグの選手にしたかったのだ。しかし、彼女は夢である
デザイナーになることしか考えていなかった。そこで、彼女より
強く、そして、現在のチャンピオンを倒せるような逸材の若者を
探していたとアキに語った。
そして、その逸材こそアキだと説得する。

なんだかうさんくさいと思って帰ろうとするアキを
とりあえず「あゆみに勝ちたいだろ?」と引き止めるマスター。

が、この時、マスターが見せた一本のビデオテープが
アキをバトリーグの世界へと誘った。

現在のバトリーグ・アジアチャンピオンがベルトを手にした時の
VTRだった。普通のバトリーグのVTR。
しかし、そこに映っていたアジアチャンピオンは
アキの幼なじみ「白川悟実」だった。

アキは言う。
「あいつ、ずっといじめられてたのに。大きくなったら
強くなって、絶対見返してやるって言ってた」


というわけで、とにかくトレーニングを始めたアキ。
あゆみにぼろ負けしたあの日から1週間。再びあゆみと
ギアで戦うことに。負けたことのないあゆみを初めてドローに
もちこんだアキ。その成長ぶりに誰もが驚いた。

デザイナーズオーディションの締め切りも後回しにして
自分と試合をしてくれたあゆみのことを知り、アキも
あゆみの夢を応援しながら、自分の夢を思い出して
追いかけようとしていた。


そんなあゆみがある日、アキに語った。
死んだお母さんが語って聞かせてくれた、天使の話。

「天使は、一生懸命な人をちゃーんと見てて、奇跡を
  起こしてくれるの。だから、誰も見ていなくても
 頑張らなきゃいけないの。頑張っていたら、絶対
 天使がやって来てくれるの。夢を叶えてくれるの」


さて、アジアチャンピオン白川は、世界チャンプとの
試合を延期され、苛立っていた。
トレーナー(浜本)は、バトリーグ協会から白川の強さに
クレームが来ていることなどを話しながら、一度、日本に
戻って、凱旋試合をしようと提案する。

「日本か。ちょうどいい。会いたいやつがいる」

そうして、2人は日本へ戻ってきた。
白川は、前のトレーナーだった男のもとへ挨拶に来た。
そのトレーナーというのが、あのバーのマスター。

「ここにいた1年間は、何の役にも立たなかった」
と、嘲笑う白川。
着道楽の白川は、偶然バーにやってきた娘のあゆみの着ている
服に惚れ込んでしまい、スーツを作ってくれと頼む。
(ついでに、トレーナー浜本も、腹巻きを作ってくれと頼んでた)

父親がけなされてるのに、とマスターが嘆く中
「記者会見で着てくれるなんてチャンスだもの」と承諾する
あゆみ。そんな時、ロードワークからアキが帰ってきた。

思わぬ再会に驚く2人。

その白川が会いたい男こそ、幼い頃に自分をいじめた相手。
見返してやろうとずっと思っていた相手、アキだった。

白川はすぐに浜本に提案する。
「10人抜きの試合をやる。日本チャンプ級の選手を9人
 集めてくれ。そして、10人目は、アキ、お前だ」


アキは初めてマスターから聞いた話を思い出していた。
「伝説の男と伝説のトレーナーである私が作り出した
 最強の格闘技の技の数々がある」と。

伝説の技を教えてくれと頼むアキに、マスターは伝説の
男がいないからダメだと言うばかり。
アキのために、その伝説の男を探しに行くコウジ。

それを聞いていたあゆみは父に吃驚する。
父の話が嘘だと知ったあゆみは、本当のことを話そうか悩む。

が、コウジはちゃんと伝説の男を連れてきた。
...結局、偽者だったけど。


そんなある日、あゆみに一本の電話が入る。
あゆみがデザイナーズオーディションで優勝したのだ。
アキに報告して喜ぶあゆみ。

あゆみの記者会見。
記者の「白川さんが着ていたのを見て審査員も...」と
いう心ない発言に心が少し揺らぐあゆみ。
しかし、あゆみのもとにかけつけた白川はそれを否定し
あゆみと2人、記者のもとを離れて行った。

その様子を偶然見ていたアキ。
妙な空しさと悔しさをひたすらトレーニングにぶつける。


白川、アキ2人の記者会見がそれぞれ行われた。

「俺が昔、あいつをいじめてました。あいつの化けの皮を
 ひんむいてやる」とアキ。

「俺は、お前が逃げても、地の果てまで追いかけて
 地べたにはいつくばらせてやる」と白川。


白川の練習風景と、自分に向けられた彼の闘志に
子ども時代、いじめられていた白川を助けながらも
自分もいじめたいたアキは、当時の頃から芯が強く
そして自分の夢を叶えた白川に、改めて不安と恐怖を
つのらせる。

あゆみに励まされるアキ。
「夢が見つかっただけでもラッキーだと思わなきゃ」
「やりたいことができて、よかったじゃない」
アキは子どもの頃の夢を思い出す。そしてつぶやく。
「そうだな、ヒーローは弱音吐いてちゃいけないな」


しかし、白川もまた、子どもの頃のアキとのことを
思い出し、不安と苛立ちも同時につのらせていた。
「トレーナー、もっと練習メニューを増やしてくれ」
浜本に頼み、オーバーワーク必至でトレーニングに
励むことに。


試合の日は、刻々と迫ってきていた。


試合当日。
前人未到の10人抜きに挑戦した白川は難なく9人を
倒していった。

あゆみの作ったガウンをまとったアキは、最後に
あゆみにたずねた。

「天使って、いるよな...?」

当たり前でしょ、と微笑むあゆみ。
その言葉を背に白川のいるリングへと向かうアキ。


2人の闘いは、今、始まったばかり。

祝福か、奇跡か。それとも...。

プロローグを告げる天使が2人に舞い下りる。

Story by OKAMOTO,Kunihiko


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